本橋で採用されている「プレビーム」工法は日本で発明された技術です。
大きな特徴は、一般的なコンクリートの橋桁に比べて軽く、桁高(橋の厚み)が低い、といった点が挙げられます。
「プレストレストコンクリートとは」のページで説明しているように、プレストレストコンクリート橋は、通常PC鋼材を緊張してコンクリートにプレストレスを与えます。一方で、このプレビーム工法は、断面がIの字の形をした鋼の桁が元の形に戻ろうとする力でコンクリートにプレストレスを与えます。
このページでは、どのようにプレビームの桁にプレストレスをかけ、橋をかけていくのかご紹介いたします。
プレビームの桁の作り方
1)Iの字の形の鋼桁を作ります。
図のように鉄板を3枚準備し、断面がIの字のようになるよう溶接します。
上下の横の部分をフランジ、縦の部分をウェブといいます。
2)上から負荷をかけて、そらします。
この曲がった桁を、上から負荷をかけてそらします。図では分かりやすいよう極端に曲げていますが、実際は計算に基づいた値で負荷をかけます。
3)その状態のまま、下のフランジにコンクリートを打設します。
図では、鋼桁を切って運ぶ時のために、コンクリートの打設を分割して行っています。
4)コンクリート硬化後、負荷を解除します。
コンクリートが硬化した後、負荷を解除します。すると、鋼桁は元の状態に戻ろうとし、その力でコンクリートにプレストレスがかかります。
プレストレスがかかることによって桁に使われたコンクリートはひび割れに強いものとなり、桁高を低くできます。
5)現場に運ぶため分割します。
小さな支間(橋脚と橋脚の間の長さ)の橋では分割しないで運搬することもありますが、大きな橋では、鋼桁を切って分割して運びます。
図では3分割していますが、今回の橋では2分割して運びました。
6)トラックで現場に運搬します。
分割した鋼桁をトラックで現場に運搬します。
7)架設し、橋桁を作ります。
支保工という桁を支える台を作って、その上にクレーンで架設し、鋼の桁を繋げて橋桁とします。
8)ウェブの部分をコンクリートで打設します。
橋桁のウェブをコンクリートで打設します。
9)横桁を作ります。
橋桁は実際には横に何本も並べて橋を作ります。それらをつなぐ横桁を作ります。横桁で繋ぐことによって、上からの負荷を1本の橋桁が担うのではなく、複数の橋桁で担うことができるようになります。
10)床版コンクリートを打設します。
鋼桁の上フランジを埋め込みながら、床版コンクリートを打設します。
11)カウンターウエイトを置き、鋼桁の下フランジを打設します。
カウンターウエイトを床版コンクリートの上に置きます。すると、カウンターウエイトの重みで、まだ外に出ている鋼桁の部分が広がります。そこにコンクリートを打設します。
12)カウンターウエイトを除去します。
カウンターウエイトを除去すると、下フランジに打設したコンクリートにプレストレスがかかります。
以上でプレビーム工法で橋が架かります。