吹田高架橋では箱桁橋という形式を採用しています。この形式は、場所打ちという、橋を架けるところに型枠を組んでコンクリートを打ち込み架ける橋を作るときによく採用される形式です。
橋桁の中身がくりぬかれているため、軽い橋桁を作ることができます。また、プレストレストコンクリートを作る際、PC鋼材を桁の空洞に通すことができるため、橋の内側からPC鋼材を点検するときに便利です。また、将来的にPC鋼材を取り換えるといった補修をする際にも非常に作業がしやすい橋になります。
PC箱桁橋の作り方
橋脚がすでに立っているところから説明します。
奥にあるのが橋の両端を支え、道路と橋をつなぐ部分となる橋台です。手前にあるのが橋脚です。橋台・橋脚のことを下部工といいます。
- 1) 足場にもなる支保工(しほこう:橋げたを作る時の支え)を組みます。
支保工には、橋桁の下に枠組足場を組むものもあれば、梁のようにトラスをかけて、橋桁の下の空間を確保し、交通を妨げないようにするものなどがあります。
一つの橋を架けるときも、橋脚と橋脚の間の状況に応じて支保工を使い分けていきます。
- 2) 支保工の上に型枠を組みます。
今回は、橋脚と橋桁がしっかりつながった(これを剛接合という)ラーメン橋なので、橋脚の上面は型枠に顔を出した状態にします。
- 3) 型枠の中に鉄筋を組みます。
- 4) 箱桁内部の空間を設けるための型枠を設置します。
また、橋脚の上には横桁部を作成するため、そこにはコンクリートを打ち込む準備をします。
横桁部には開口部といって、隣の空間に移動するための穴があけられます。それ用の型枠を組み、鉄筋を設置します。
また、横桁部にはPC鋼材を通すための鋼管を設置し、後でコンクリートにPC鋼材を通すことができるようにしておきます。
コンクリート打設時に無駄なコンクリートが付着すると困る部分には、養生テープなどで養生しておきます(下の図蛍光色の部分)。
- 5)型枠内にコンクリートを打設します。箱の壁の下になる部分を先に打ち込み、次に底面になる部分にコンクリートを打ち込みます。
底面の上は人が入ってタンピングなどして滑らかに仕上げます。
ちなみに、箱桁の内部空間は成人男性が立って歩けるほどの高さを確保することが多いです。
- 6) コンクリートが十分な強度を持ったら型枠を外し、養生テープもはずします。
- 7) 床版(車などの荷重を支えるところ)のコンクリートを打設した際に桁下空間にコンクリートが流れ込まないよう型枠を設置します。
- 8) 床版用の鉄筋とPC鋼材を敷設します。壁高欄(橋の上を通る車などが落ちないようにするための柵)用の鉄筋も一部組み立てておきます。
- 9)床版コンクリートを打設します。タンピングなどを行い、滑らかな床版を作成します。
- 10) 底の部分になる型枠を残し、左右の型枠を撤去します。また、箱桁内部の型枠も撤去します。箱桁内部の型枠は開口部を通して外につながる孔のあいているところまで運び、そこから外に運び出します。
- 11)PC鋼材を箱桁内に通します。横桁部分はあらかじめ設置しておいたシースの中を通します。
- 12) PC鋼材を緊張し、橋桁のコンクリートにプレストレスをかけます。橋桁に十分なプレストレスがかかったら、底の型枠を撤去します。
- 13)壁高欄用の鉄筋を組み、型枠を設置します。
- 14)壁高欄にコンクリートを打設し、十分な硬さを持ったら型枠を撤去します。最後に支保工を撤去し、完成です。
大きな橋ではこの作業を径間(橋桁と橋桁の間)ごとに繰り返して作業します。
全体が完成したら私たちの会社の作業は終わり、舗装工事の会社が橋面を舗装します。
完成透視図
箱桁橋は以下のように、橋の中に空洞がいくつもあいています。
空洞を分割する柱頭部、隔壁部には開口部があけられているので、そこを通って隣の空洞に移動し、PC鋼材の錆の発生やコンクリートのひび割れなどの点検を行います。