大坂谷川橋では版桁橋(ばんげたはし)という形式を採用しております。
橋梁概要では2主版桁橋となっておりますが、これは主桁(橋桁の厚い部分)が2つあるという意味で、広い幅員(道路部分の幅)の橋だと3主版桁橋といったように増えていくもので、橋梁の分類としては版桁橋(多主版桁橋ともいう)となります。
版桁橋は、車の荷重を受ける「床版」の部分を厚くし、車や床版、自分自身の重さを受け持つ「橋桁」という、より厚い「主桁(ウェブ)」部分を下にくっつけ一体化した橋です。
箱桁橋が箱桁と床版を別々にコンクリートを打設するのに対し、主桁と床版を一度に打設するのが大きな特徴です。
一度に打設できるということで、施工を合理化することができますが、桁の中に空洞がないため箱桁橋より重くなりあまり長い桁を作ることができません。大体25m~30mの径間に利用されます。
また、すっきりとした見た目がよく、中規模の高架橋によく採用される形式です。
版桁橋の作り方
橋脚がすでに立っているところから説明します。
奥にあるのが橋の両端を支え、道路と橋をつなぐ部分となる橋台です。手前にあるのが橋脚です。橋台・橋脚のことを下部工といいます。
- 1) 足場にもなる支保工(しほこう:橋げたを作る時の支え)を組みます。
支保工には、橋桁の下に枠組足場を組むものもあれば、川の上など足場の組めない場所には梁のようにトラスをかけて支えとするものなどがあります。
一つの橋を架けるときも、橋脚と橋脚の間の状況に応じて支保工を使い分けていきます。
- 2) 支保工の上に型枠を組みます。
今回は、橋脚と橋桁がしっかりつながった(これを剛接合という)ラーメン橋なので、橋脚の上面は型枠に顔を出した状態にします。
- 3) 型枠の中に鉄筋を組みます。
- 4) PC鋼材を橋軸方向(橋の通行方向)に設置します。
PC鋼材の位置はコンクリートに発生する引張力に応じて配置します。
- 5) 床版用の下側の鉄筋を敷設します。
- 6) PC鋼材を橋軸直角方向(橋の通行方向とは直角方向)に設置します。
このPC鋼材でプレストレスをかけることにより、丈夫な床版が出来上がります。
- 7) 床版の上の鉄筋を敷設します。
- 8) 主桁と床版に一度にコンクリートを打設します。
- 9) 底の型枠を残し、それ以外の型枠を撤去します。
- 10) 床版に敷設したPC鋼材を橋軸直角方向(橋の通行方向)に緊張します。
プレストレスのかかった荷重に強い床版が出来上がります。
- 11) 橋桁に敷設したPC鋼材を橋軸方向に緊張します。
- 12) 底の型枠を撤去します。
- 13) 壁高欄の鉄筋を組み、型枠を設置します。
- 14) 壁高欄にコンクリートを打設し、十分な硬さを持ったら型枠を撤去します。
排水装置などの付属物をつけ、最後に支保工を撤去し、完成です。
ここで私たちの会社の作業は終わり、あとは舗装工事の会社が橋面を舗装したりといった工事が引き続き行われます。